忍者ブログ
超短編やサイトのお知らせなど。 (推敲ナシの一発書きなのでご了承ください)
[16]  [15]  [14]  [13]  [12]  [11]  [10]  [9]  [8]  [7]  [6
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

お題配布元:http://99.jpn.org/ag/

[08] 夢物語

 青々とした緑が公園を彩っていた。
 ベンチに一人、青年が腰掛けている。彼は携帯電話をひたすら操作していた。何かを手短に打ち込み、顔を上げる。微かに振動が響き、再度携帯電話を覗き込む。先ほどからそんなことの繰り返しであった。
「……マジかよ」
 彼の携帯電話には一通のメールが表示されていた。
『今日一日タカシを預かってくんない? いきなり用事がはいっちゃって(笑) 弟よ、頼んだ』
 丸一日子供の面倒を見ろ。
 そんな姉の声が頭に直接響いた気がする。毎度ながら、人使いというか、弟使いが荒い。
「わーったよ。見とけばいいんだろ見とけば……」
 俺は小さく舌打ちをし、親指のみで素早く返信を打った。

「おじちゃん。今日は何をする?」
「俺はまだ19だ。お兄さんと呼べ」
 苛立つ青年と無邪気な少年。一見兄弟とも見えない構図だが、叔父と甥という関係にある以上、“おじちゃん”と呼ばれることに問題はない。それでも青年の苛立ちは消えなかった。
 甥は確か、まだ小学生であったか。ただでさえ苦手な子供の顔に更に苦手な姉の顔を連想させ、苛立ちは増す。
 とりあえず公園の遊具に連れて行き、勝手に遊んでいるよう言いつけた。「一緒に遊ぼうよ」なんて言われた気がしたが、生憎子供と遊ぶなんて高等技術は持ち合わせていない。
 俺は適当にベンチから眺めていた。

「ねぇおじちゃん」
「だから、お兄さんと呼べと何度言ったら」
「僕の夢を聞いてくれる?」
 おじちゃんと呼ばれることに激しい反感を感じる。が、唐突に彼の口から出た言葉に眉をひそめる。何が楽しくてこんな子供の夢なんて聞かなくてはならないのだ。
 だが、興味だけはあった。最近の子供なんてのは夢見がちだからな。
「えっとね、僕はね、――


「お疲れさん。助かったわ」
「……そりゃどうも」
 夕暮れ時。空は赤色に染まり、カラスが飛んでゆく。
 公園の道を一組の男女が歩いていた。女性の背中には押さない少年が眠っている。青年とはいえば先程から不機嫌そうに俯いている。
「で、なんでアンタはそんなに落ち込んでるわけ?」
「姉さんには関係ないだろ」
 ぶつぶつと口の中で呟きながら青年は女性を睨む。どうやら兄弟らしい二人組は公園を出て、住宅街へ入っていった。

 まさか、あのガキが俺と同じ夢だとはな。
『僕は将来ね、お医者さんになって皆を助けたいの!』
 それは、もしかするとただの夢物語かもしれないぞ。

--------------------------------
散々悩んだ挙句。
うーむ…ビミョウな気がw

PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
プロフィール
HN:
トビエダ
HP:
性別:
非公開
職業:
学生
趣味:
ラノベを読むこと、書くこと。
ブログ内検索
pixiv
最新コメント