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[07] 散歩日和
沈黙に包まれた部屋の中、シャーペンが紙を引掻く音のみが響いている。円卓を囲んで少女が二人、ひたすらに何かを書き続けていた。
しばらくして、ショートカットの少女のほうが唐突に立ち上がった。
「よし、散歩に行こう!」
彼女の言葉だけが響き、また沈黙が落ちる。
相方の少女とはいえば、疑惑に満ちた目で見上げていた。
「ねぇ、ユキ。散歩がどうとか言う前に課題終わらせたら?」
ユキと呼ばれた少女は聞き流そうと耳を塞いだ。もう集中力が持たないのだ。自分は彼女と違ってそこまで頭が良いわけではない。そんな自分にとって長時間座り続けることは苦痛以外に何も感じられなかった。だから現実逃避ともとれる提案をしている。が、彼女に勝てるかどうかは正直、微妙だ。
「……だ、だって、……ずっと勉強してたら体にも悪いって。ほら、エコノミー症候群とか言うじゃん?」
「ここは飛行機じゃないよ。それにここまで溜めたのはユキでしょ?自業自得ー」
畜生。折角このあいだ雑誌で見かけた知識を披露してやったのに。しかも彼女の言うことは何の矛盾もない。次はどうしようか。
「だからってこんな環境は正直きっついだろ?。ほら、息抜きってもの重要なんだって。症候群は置いておいて」
うん。そうだ。息抜きは絶対に必要だ。さもないと本当に脳がショートしそうだった。漫画とかでよく頭から煙が出ているが、今なら妙に納得できる。
「……その息抜きが積み重なって、入試で小2の漢字を間違えたのはどこの誰だっけ?」
「それは……えっと、当日の緊張感?」
ユキはじりじりと追い詰められていた。出来る言い訳のストックがそんなにあるわけではない。ユキは半ばやけになって窓を指差した。
「……じゃあ、こんな散歩日和に外に出ないのはおかしい!こんなに晴れてるのに!!」
そう言うと彼女は口角を少し上げる。まるで勝利を確信したような笑顔に、ユキは生唾を飲み込む。
「そう。散歩日和ねぇ」
小馬鹿にしたような態度に疑問を感じ、実証してみせようとカーテンを捲ると、
「確かに散歩は出来ないことはないね。でもあんまりおススメしないかな」
外は土砂降りの雨であった。
「……ごめんなさい。負けました」
「誤るのは良いから、早くやらないと。留年が懸かってるんでしょー」
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入試の話=実話
汽車の汽、素でわかんなかった馬鹿ですw