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お題配布元:あなぐら様 http://99.jpn.org/ag/


[03] ギブス

 まさか、自分が交通事故に合うなんて思わなかった。
 新品のバイクに乗ってはしゃいだのが仇になったらしい。曲がり角を曲がってきた車と衝突してこのザマだ。
 今、俺の右足はガチガチにギブスで固められている。半分は自業自得だが、どうしても不機嫌にならざるを得ない。
「やほー。怪我で動けないケンの為に差し入れを持ってきたよー!」
 扉を蹴破るようにして友人が乗り込んできた。俺が一人部屋じゃなかったらどうしてたんだと溜息を付く。ちなみにケンと言うのは俺の名前だ。本名はもう少し長いが、愛称としてこうして通っている。
「邪魔する」
 続けてもう一人の物静かな友人も入ってくる。全く、こいつら足して二で割ればいいのに。

「それにしても……派手にやったねー。しかも新車もボロボロだー!」
「免許とってまだ間がないだろう。完全に自業自得だな」
 親友二人の言葉が刺のように刺さる。特に後者、それは俺もわかりきってるさ。
「言うな……。くそっ……こっちだって落ち込んでるんだ」
 項垂れて見せると、やかましい方の友人がペンを取り出す。
「ではではー。抵抗できないケンに悪戯をしようか」
「!?……おい。待て、理不尽だ!」
 顔にでも落書きをするつもりであろう。薄く笑いながらペンを持ってにじり寄ってくる。
「必殺!顔に書くと見せつけてギブスに落書きッ!」
 ……と、叫びながらそいつは俺の右足にあるギブスに落書きを始めた。

「ったくあいつは……」
「お疲れ様」
 今、奴はジュースを買いに病院内の自販機を探しに行った。しばらくは戻ってこないだろう。あいつが居なくなっただけで部屋の気温が変わるような気がする。相槌を打つこいつも風変わりな奴だが、居ても特に害はない。
 足のギブスには奴が書きなぐった落書きが踊っていた。相合傘や俺の名前など、どうでもいい落書きばかりであったが、一つの文字列に目を奪われる。
『ケンが早く退院できますように』
「あいつ……」
 奴に似合わない言葉に思わず感涙する。すると隣の友人がそっと呟いた。
「随分、懐かれているじゃないか」
「まるで扱いが動物だな、ソレ」

 当の本人は自販機を見つける過程で看護師を引っ掛けていたりするのだが、それはまた別の話。

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ケン=思いつき
名無しはキツいのでw

こういう三人組が結構好きです。
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