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お題配布元:あなぐら様 http://99.jpn.org/ag/
[02] 雨宿り
春の雨と言うものは気まぐれで困る。
この日本中に、にわか雨の被害にあった人々は一体何人いるのだろう。
とりあえず、俺もその一人に入ったことは間違いない。
少し山奥に住む知り合いを訪ねたあと、帰る途中であった。
「ちくしょう……」
口からは自然に悪態が漏れる。俺は自転車を全速力でこぎながらどこか雨宿りが出来そうな場所を探した。しかし、コンビニどころかバスの停留所さえない場所である。こんなことならば傘の一つでも持ってきていればよかった。そんな後悔を胸に滲ませながら。
誰も住んでいなさそうな日本家屋の軒下に自転車を止めた。ここならば雨が止むまでの時間は潰せるだろう。特に急いでいるわけでもないので、弊害は俺の時間を無駄にすることだけだ。
それにしても、随分古い印象を受ける屋敷だ。恐らくガスも水道も通っていないのだろう。人が住まなくなってから何十年も経っているということだろうか。
ふと携帯電話を取り出してみる。電波は一本と圏外の間を行き来していた。
こんな場所に住む友人はかなり物好きだなと今更ながら思った。
不意に、目の端に影が横切った。
反射的に目をそちらに向けると、和服を着た少女がぱたぱたと足音を立てて走り去った。座敷童を思わせる髪型と服装。いや、本当にそうではなかろうか。
呆然と眺めていると、彼女のほうがこちらに気付く。
「お兄ちゃん、どうしたの?」
澄んだ声が耳に届く。頭に直接響くような声だった。
「う、うん……雨に降られちゃって、家に帰れないんだ」
それを聞き入れた彼女が首を傾げ、空を指差す。その光景を見て、俺は絶句した。
「どうして?こんなに晴れてるのに」
あどけない笑顔を見せる少女。しかし、俺は違和感を感じさせられずにはいられなかった。
ほんの一秒前まで激しく降っていた雨がぴたりと止んでいた。
「お兄ちゃんったら、気付かなかったんだ!うっかりさんだねー」
気付くも何も、本当に彼女が空を指差すまで雨が降っていた。しかし、この空の様子からそれは感じられない。
「よかったね。お家、帰れるよ!」
「え?……あ、うん……」
俺は歯切れの悪い返事をしながら、自転車にまたがる。
その少女は元気よく手を振って、俺を見送ってくれた。
「あ、お前まだいたのか!」
「うん。ちょっと雨に降られてさ…」
「……え?雨なんて降ってたっけ?」
「はぁ?お前引きこもりにもほどが…」
「馬鹿言うな!俺はその時間外で花に水やってたって!」
「えー……。じゃあこのカバン見てみろよ。びしょ濡れじゃないか……あれ?」
「ぜんぜん濡れてないじゃないか!……あれだ。きっと幻覚でも見てたんだろ?」
「うーん……。おかしいなぁ…」
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座敷童というか、雨を降らせて人を迷いこませるというか。
なんかそんな感じの女の子でした。