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お題配布元:http://99.jpn.org/ag/


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[13] マスター・プラン*


「――以上、これが今回の任務内容だ。何か質問は」
  無機質な上官の声がしんとした室内に響く。俺を含めて、異論を唱えようとする者は誰ひとりいない。
  俺達はもう何年も隣国と戦っていた。始まったばかりの頃はそれはもう激しい戦だった……と思う。俺がまだ赤ん坊のときだったから、覚えてないのも無理はない。
「今日は君達の初陣だ。良い成果を上げられるよう、期待している」
  上官が腰を上げると同時に、ぱちぱちと無気力な拍手が起こった。中には本当に心から尊敬して拍手している奴もいる。全く馬鹿な奴だ。
  ふと、一つの疑問が浮かんだ。
「……戦争は、いつ終わるんだ?」
  幼い頃からずっと思い続けてきた疑問だ。周りの大人達に聞いてみても、いつも同じ答えが帰ってくる。
  俺の独り言が聞こえたのか、上官は顔を真っ赤にして怒鳴った。
「決まっているだろう!我らの戦いが終わるのは、隣国が倒れることを意味するのだ!それまで終わることはない!」
  ああ、またか。
  いつもいつも大人達は同じ事を言う。隣国隣国って、あいつらが何をしたんだよ。
俺はきっと頭に血が上っていたんだと思う。浮かび上がる疑問をそのままぶつけていた。
「じゃあ、俺達が戦う意味は?何のために戦っているんだ?そもそもこの計画の根本は――」
「それは、貴様らのような二等兵が知ることではない」
  しかし、それは冷たい上官の声に遮られた。さっきの暑苦しさはどこに消えたのか。指を真っ直ぐ上に立て、静かな声で言い放つ。
「基本計画は上の方々が知っているよ。どうしても気になるんなら出世しろ」
それだけ言うと、上官は靴音をわざとらしく立てながら去っていった。なんだあの言い方。妙に癪に触る。
「まぁ、落ち着けって。じきにわかることだろう?」
  隣に座っていた友が肩を叩いてきた。俺はまだ不機嫌だったが、そのまま帰った覚えがある。
  なんであんな事を言ってしまったのか、今となってはよく思い出せない。怖いもの知らずだったと思う。


「……なんて、時代が俺にもあったんだよ」
「ふーん」
  俺はもう年老いて、こうやって孫に昔話することが唯一の楽しみになっていた。
「でさ、おじいちゃん。その『基本計画』ってなんだったの?おじいちゃんはこの国で一番偉い人なんでしょう?」
  あの時の俺のように、孫は純粋に疑問をぶつけてくる。
  俺は苦笑し、記憶を辿りながら答えた。
「そんなものはな……実は存在しなかったんだよ」



*:意味-基本計画


--------------------------
ケータイで書いてみたその2
眼科の待ち時間にちまちまちまちま打った覚えがw
やまなしおちなしいみなし…orz

ちなみに、このお話はフィクションです。
実際の戦争・国等には何の関係もありません。

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