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お題配布元:http://99.jpn.org/ag/

[14]曲がり角


閑静な住宅街を、一人の学生が赤色の傘を回しながら歩いていた。

ああ、遅くなってしまった。
私は軽くため息を付きながら、重い足取りで道を進む。
いつもなら携帯で音楽を聴きながら帰るのだが、雨だとそうもいかない。
今日は土砂降りの雨が降っており、梅雨独特の肌にまとわり付くような空気に包まれている。例えるならそう、バケツをひっくり返したような雨だ。
この間新しくかった傘ももうすっかり濡れている。私は水溜りの上にローファーを滑らせながら、帰り道を急いだ。
雨のお陰で私の癖ッ毛は無造作に跳ねている。時たま、心から直毛を持って生まれたかったと思うこともあるが、叶わぬ願いである。
  しかし、本当に今日は疲れた。やっぱり運動部はきついな。入るんじゃなかったと、後悔の念が押し寄せてくる。
若干傘からはみだして濡れる腕と煙る視界も加わって、私の憂鬱は最高潮に達していた。
そういえば明日小テストあったじゃん、とか、あの番組録れてるかな、とか。そんなことを延々と考えながら、私は十字路を曲がった。

とん、

と、何かが傘にあたったような軽い音がする。
ふと見上げてみると、フードを目深に被った人物が私を見下ろしていた。彼の胸元には自分の赤い傘が当たっている。
彼はどこまでも無機質な瞳をこちらに向けている。どこか怖そうな雰囲気をまとった青年だ。
「す、すみませんッ!」
私はとっさに謝り、頭を下げた。反応がない。
もしかして怒らせてしまっただろうか、とおそるおそる視線を上げると、彼は無表情で胸元を見おろしていた。
傘で濡れてしまったのを気にしている、のだろう。憶測だが。
何か拭く物はないかと、慌てて私はポケットを漁る。
「……あの、よければコレ、お使いください…」
桜色のハンカチをそっとさしだしてみる。相変わらず反応がない。
しばらくして、彼はそっとハンカチを受け取り、そして無表情のまま頷いた。

ありがとう

雨音のお陰で直接は聞こえなかったが、唇がそう動いたのだけはわかった。
「…え、ええ。どういたしまして」
曖昧な返答をしてみせると、彼はふわり、と自然な微笑を浮かべる。
その表情を見て、少しだけ、沈んでいた心が和んだ。

ああ、今日が雨でよかった。


-------------------
超久々の、お題更新、デスorz
携帯でずっとちまちま打っていました。書いてた時期が丁度梅雨だったので雨のお話です。
久々なのでぐだぐだ感が半端ない…!!
お仕事(?)のためのリハビリってことで一つ。

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