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超短編やサイトのお知らせなど。 (推敲ナシの一発書きなのでご了承ください)
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(記憶屋―Pawnshop of memories― ヨリ)


 日曜日の午後の昼下がり。街のほとんどの人が明日から始まる一週間を憂う時間。
 記憶屋は一人公園のベンチに腰掛けていた。
 季節は初夏である。もうそろそろ、蝉も地面から這い出てくるだろう。
 汗ばむほどの陽気の中、ロングコートに身を包み、マフラーで口元を隠し、尚且つ帽子で目元さえ隠すその服装は … …少しばかりか確実にその空間から浮き出ていた。
「 … …暑い、です」
 誰にともなく、記憶屋は呟く。公園に人は少なく、誰の耳にも届いていないようだ。
 口にした所で何か変わるわけでもないが、そう訴えてみたら何かが変わるかもしれない。そんな淡い希望から生まれた呟きである。
 当然状況は変化せず、立ち込める熱気は記憶屋をじわじわと追い詰めていった。
「コートくらい脱げよ、お前馬鹿だろ」
 背中のほうから刺すような声が聞こえて、記憶屋は首を後ろに折る。声を聞いた時点で誰か分かっているが、念のため、確認してみる意味を込めて。
 予想通り、反転した視界の中には見慣れた赤い瞳の少女がいた。シュレッダーだ。
 ただし、いつもの制服風の格好ではなく、少し街の流行を意識したような薄着に変わっている。
「衣替え、ですか」
「悪いか。一応女なんでね。いっつも同じ服装ってわけにはいかない」
 シュレッダーは胸を張ってみせる。
 記憶屋にはその服がどういった名称なのかはわからない。ただ、少しウェーブのかかった長いスカートは、涼し気だなぁとだけぼんやりと思った。
 いい加減首を曲げた体制も辛くなってきて、記憶屋は頭を元の位置に戻す。
 暑さの為か、頭がぼうっとする。
 ただ、コートはどうしても脱ぎたくない。マフラーだって、口元を隠すのが癖になってしまってどうにも外せない。
 少し虚ろになりつつある記憶屋の目を、シュレッダーが覗き込む。
「おい、大丈夫なのか? 熱中症にでもなってるんじゃないんだろうな」
「僕が … …そんなに軟弱に……見えますか?」
「ああ、見えるとも」
 きっぱりと言い放ってみせるシュレッダーに、記憶屋は苦笑いを隠せなかった。
「とりあえず、水でも買ってきてやるからせめてマフラーは外せ」
 彼女はそう言いながら記憶屋の首元に手を掛けようとした。が、記憶屋は拒むようにシュレッダーの手首を掴む。
「嫌です」
「 … …このまま倒れても知らないぞ?」
「嫌ったら … …嫌です」
 記憶屋は駄々をこねる子供のように力を込めた。
 お互いに力を込めあっているのでちょっとした膠着状態に陥ってしまう。代わりに口ばかりが両者とも達者に動いた。
「駄目だ。お前みたいな奴倒れても運んでいけない」
「じゃあ … …放置してくれていいですから。マフラーを外すのはだけは … …嫌です」
「なんでそんな嫌がるんだ」
「首が … …スースーするからって理由じゃ駄目ですか」
「なんだよそれ」
「とりあえず … …これは、外せないんです」
「ああもう、そんな意地を張っててもいいことないぞ!」
 そんな会話が何回か往復したが、いつまでもそんな状態は続かなかった。
 やっぱり、暑さには適わなかった。記憶屋の視界が急に暗転して、手から力が抜け落ちる。シュレッダーにとってはその隙さえあれば十分だった。
「ほら見たことか」
 そんな声が頭上から振ってくる。首元にまとわり付いていた布が衣擦れの音を立てて外れていった。首が急に軽くなる。
 ああ、嫌だったのにな。と、記憶屋はうまく働かない頭でそう考えた。

「 … …なぁ、こういうことは素直に早く言え」
 
 シュレッダーは、淡い傷跡が無数に残る首元を一瞥して言った。

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深夜テンションクォリティ … …何がしたかったんだろう!
相変わらずやまなしおちなしいみなし推敲なしです。

記憶屋さんいとしい。

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